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東京地方裁判所 平成2年(ワ)16712号 判決

原告

株式会社ジィー・エム・シー

右代表者代表取締役

松井正助

小平雅朗

被告

東京都

右代表者知事

鈴木俊一

右指定代理人

小林紀歳

外一名

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告に対し、金二億一四二〇万七〇〇〇円及びこれに対する平成元年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  主文同旨

2  担保を条件とする仮執行免脱宣言

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、後記本件代執行当時、東京都中央区築地五丁目二番地先の二級河川築地川の河川区域内の土地(以下「本件土地」という。)について占用許可に基づく占用権原を有し、本件土地上に別紙物件目録記載の工作物(以下「本件工作物」という。)を所有して、ヨットハーバー事業を営んでいた。

2  訴外東京都知事(以下「都知事」という。)は、原告が本件土地の占用権原を有していないとして、昭和六三年四月二一日付けで原告に対し、河川法七五条一項一号に基づき、本件工作物を除却して河川を原状に回復すべき旨の原状回復命令(以下「本件原状回復命令」という。)を発し、次いで、行政代執行法に基づき、同年一〇月一二日付けで履行期限を同年一二月一一日と定め右期限までに本件工作物を除却しないときは代執行すべき旨の戒告をした上、平成元年二月一四日付け代執行令書をもって代執行を行う時期を同年三月一〇日から同年四月三日までとする代執行の通知を行い、同年三月一〇日から同年四月一日にかけて本件工作物を除却する代執行(以下「本件代執行」という。)をした。

3  しかしながら、以下のとおり、都知事には本件代執行をする権限がないのであるから、本件代執行は違法である。

(一) 河川区域内の土地の占用許可(河川法二四条)は、河川管理者の有する河川管理権に基づく作用である。他方、河川管理者の行ういわゆる監督処分についての規定である同法七五条一項、二項中には、占用等の許可の取消しについても定めがあるが、右の許可の取消しは講学上の許可の撤回に当たるところ、一般に、行政処分の撤回は当該行政処分と同一の性質を有し、かつ、撤回の権限は当該行政処分をした行政庁にのみ属すると解すべきであるから、河川法上、河川管理権の作用としての占用許可の権限は監督処分の権限を包含しており、占用許可と監督処分とは密接不可分の関係にあって、右各権限は同一の行政庁に属すべきこととされていることは明らかである。

(二)(1) 河川法上二級河川の河川管理者は都道府県知事とされている(同法七条、一〇条)。しかし、地方自治法二八一条の三第三項は、都知事の権限に属する事務の中で主として特別区の区域内に関するものについては、これを特別区の区長に委任して管理し及び執行させる旨を定めている。右規定は、主として特別区の区域内に関する事務であれば必ず特別区の区長に委任しなければならないとするものであって、都知事にこれを委任するかどうかについての裁量は与えられていないものと解される。しかるところ、特別区の区域内に存する二級河川の管理に関する事務は、専ら当該特別区の区域内に関するものであるから、同項により、都知事は、特別区の区域内に存する二級河川についての占用許可及び監督処分の権限に属する事務を当該特別区の区長に委任して管理・執行させなければならない。

(2) 地方自治法二八一条の三第三項に基づくものとして制定された東京都区長委任条項(昭和五〇年東京都規則第一三五号、以下「委任条項」という。)一一条三号ロは、河川法による河川の管理に関する事務のうち、占用及び使用並びに産出物の採取の許可の権限に属する事務を特別区の区長に委任するとしているが、監督処分の権限に属する事務を特別区の区長に委任する旨の明文の規定は存在しない。

しかしながら、右(一)のとおり、河川法上、占用許可の権限は監督処分の権限を包含しており、占用許可と監督処分とは密接不可分の関係にあって、右各権限は同一の行政庁に属すべきこととされているのであるから、占用許可の権限が特別区の区長に委任された以上、監督処分の権限も当然に特別区の区長に属することとなったものと解すべきである。

この場合に、委任条項に監督処分の権限の委任についての明文の規定がないことを理由に、占用許可に関する権限のみが特別区の区長に委任され、監督処分の権限は都知事に残されたと解することは、河川法の定めと矛盾抵触することになる。仮に、委任条項がその趣旨を定めたものとすれば、上位法である河川法の定めと矛盾抵触する限度で委任条項の規定が排除されることになる。

(3)ア 昭和四〇年八月二四日建河管第一一一三号各区長、各建設事務所長宛て東京都建設局長通達(以下「本件通達」という。)は、「河川法第七五条の規定による許可の撤回をしようとする場合は、理由を付してあらかじめ河川部長に協議をし、その指示により許可の撤回又は更新の拒否を行うものとし、その処分を行ったときは、遅滞なく関係文書を添付して同部長に報告すること」と定めており、また、「河川法七五条第二項五号の理由が、道路等築造のための埋立てにあるときは、河川法七五条の監督処分は行ってはならないこと、すなわち、公有水面埋立法によって解決すべきものは、公有水面埋立法によって解決すべきであり、河川法によって解決すべきでない」とも定めているが、右各定めはいずれも特別区の区長が監督処分の権限を有していることを前提とするものである。

イ 東京都江東区長(以下「江東区長」という。)が昭和四二年五月二〇日及び昭和四六年七月三一日に、河川区域内の土地に占用許可をするに当たり、「河川法第七五条第二項各号の規定に該当する場合には許可を取り消し、または工作物の改築、除却、その他の措置をとること若しくは河川の原状に回復することを命ずることがある。」との付款条項を付した例があるが、右付款条項は、江東区長に監督処分の権限があることを前提とするものである。

ウ このような通達や行政実例からみても、実務上、特別区の区域内に存する二級河川についての監督処分の権限が特別区の区長に委任されているものとして扱われていたことは明らかである。

(三) そうすると、河川法七五条一項一号に基づく監督処分として、本件土地上の本件工作物を除却して河川の原状回復を命ずる権限は、本件土地の存する特別区の区長である東京都中央区長(以下「中央区長」という。)に属するものであって、都知事は右権限を有していない。したがって、都知事がした本件原状回復命令及びこれに基づく本件代執行は、その権限を有しない行政庁のしたものであって、違法である。

4  原告は、違法な本件代執行により、次のとおり、合計二億一四二〇万七〇〇〇円の損害を被った。

(一) 本件工作物の価額相当額一億九四二〇万七〇〇〇円

原告が前所有者から本件工作物を取得した際の取得価額一億一九〇三万五〇〇〇円並びに昭和六二年及び昭和六三年に本件工作物に改築を施した際の改築費二八六三万四〇〇〇円及び四六五三万八〇〇〇円の合計額である。

(二) 原告が本件工作物で営んでいたヨットハーバー営業に係る営業権の価額相当額(前所有者からの取得価額) 二〇〇〇万円

5  よって、原告は被告に対し、国家賠償法一条一項に基づき、被告の公権力の行使に当たる公務員である都知事のした違法行為による損害の賠償として、二億一四二〇万七〇〇〇円及びこれに対する本件代執行の終了日である平成元年四月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実中、原告が本件土地について占用許可に基づく占用権限を有していたことは否認し、その余は認める。

2  同2の事実は認める。

3  同3の主張は争う。

4  同4の事実は否認する。

三  被告の主張

1  都知事は、地方自治法二八一条の三第三項に基づく委任条項一一条三号ロによって、二級河川の河川管理者としての権限のうち、占用許可の権限を特別区の区長に委任しているから、右権限を失ってはいるが、委任条項には河川法七五条に基づく原状回復命令の権限を特別区の区長に委任する旨の規定はなく、また、特別区の区長に委任した占用許可権限のうちに原状回復命令の権限が含まれているものと解すべき根拠はないから、右権限は、河川管理者としての都知事に属するというべきである。

2  原告は、占用許可の権限と監督処分の権限とが密接不可分であり、同一の行政庁に属すべきであるとして、占用許可の権限が特別区の区長に委任されている以上、原状回復命令の権限も特別区の区長に委任されている旨主張する。しかし、占用許可と原状回復命令とが、河川管理者の作用としてある程度関連性を有する行政処分であることは否めないとしても、両処分は河川法上別個の根拠に基づく別個の行政処分であり、また、河川管理権の内容からいえば、占用許可は、河川管理者がその使用関係を規制し、特定の者に河川区域内の土地を占用する権利を付与することを本質とするいわゆる設権処分であるのに対し、原状回復命令は、河川法上、違法の状態にある者に対して、その除去を目的とする処分であって、両者はその性質を異にしているものであるから、この両権限を必ず同一の行政庁が行使しなければならないという根拠は何ら存在しない。

3(一)  原告は、本件通達を引用して、特別区の区長が監督処分の権限を有している旨主張する。しかし、通達は法規としての性質を有するものではないから、行政庁が通達を適用しないで処分をしたからといって、そのことが当然に当該処分を違法とするものではない上、本件通達は、昭和四二年八月一日付け建河発第五八九号東京都建設局長通達によって既に廃止されているから、原告の右主張はその根拠を欠くものである(なお、右建河発第五八九号通達及び本件原状回復命令当時の通達である昭和五六年一月二八日付け建河発第一六七一号東京都建設局長通達は、河川法七五条の監督処分は都知事が行うものであることを明示している。)。

(二)  また、原告主張の、江東区長が昭和四二年五月二〇日及び昭和四六年七月三一日に河川区域内の土地の占用許可をするに当たって付した付款条項は、河川法七五条の監督処分の権限が特別区の区長に委任されていないにもかかわらず、このことを看過してされたものといわざるを得ない。

4  したがって、都知事に、本件原状回復命令及びこれに基づく本件代執行の権限がないことを根拠として、本件代執行が違法であるとする原告の主張は失当である。

第三  証拠〈省略〉

理由

一1  請求原因1の事実のうち、原告が本件土地上に本件工作物を所有してヨットハーバー事業を営んでいたことは当事者間に争いがないが、原告が本件土地につき占用許可に基づく占用権を有していたことを認めるに足りる証拠はない。

2  同2の事実は当事者間に争いがない。

二原告は、都知事には本件代執行をする権限がないとして、本件代執行が違法である旨主張するので、以下、右主張について判断する。

1 河川法七五条一項によれば、同項所定の工作物の除却、河川の原状回復その他の各処分を行う権限は河川管理者に属するものとされているところ、二級河川の河川管理者は、当該河川の存する都道府県を統轄する都道府県知事であるから(同法七条、一〇条)、東京都中央区に所在する築地川の河川区域内の土地である本件土地上の本件工作物についてその除却を命じ、河川の原状回復を命ずる処分を行う権限は、本来的には、築地川の河川管理者としての都知事に属するものである。もっとも、地方自治法二八一条の三第三項に基づく委任条項一一条三号ロによって、都知事が河川管理者としてその権限を有する河川の管理に関する事務のうち、河川法二四条に基づく占用許可に関する事務その他一定の事務が特別区の区長に委任されているところ、かかる委任された事務については、都知事はこれに係る権限を失うに至るものと解される。

そこで、以下、二級河川において、河川法七五条一項に基づく監督処分として河川区域内の土地上の工作物の除却及び河川の原状回復を命ずる処分を行う権限が特別区の区長に委任されているものであるかどうかについて検討する。

2 委任条項その他の東京都規則に河川法七五条の監督処分に関する事務を特別区の区長に委任する旨の明文の規定は存在しない。

3 原告は、河川法七五条一項、二項中に占用等の許可の取消しについての定めがあることを根拠として、右の取消しは講学上の許可の撤回に当たるところ、行政処分の撤回は当該行政処分と同一の性質を有し、かつ、撤回の権限は当該行政処分をした行政庁にのみ属すると解すべきであるから、河川法上、河川管理権の作用である占用許可の権限は監督処分の権限を包含するものであり、占用許可と監督処分とは密接不可分の関係にあって、同一の行政庁に属すべきこととされている旨主張し、さらに右主張を前提として、占用許可の権限が特別区の区長に委任されている以上、監督処分の権限も特別区の区長に属するものである旨主張する(もっとも、河川法二四条の占用許可と同法七五条の監督処分とはともに河川管理権の作用の一環として一定の関連性を有するものであることは否定し難く、現に、同法上は、ともに河川管理者の権限に属するとされているのであるから、原告の右主張の当否は、更に進んで、地方自治法二八一条の三第三項に基づく東京都規則(委任条項)によって、都知事がその河川管理者としての権限を特別区の区長に委任するに際しても、河川法上の制約として、占用許可の権限の所在と監督処分の権限のそれとは同一に取り扱わなければならないとされているかどうか、ひいては東京都規則に明文の規定がなくとも、監督処分の権限が都知事に委任されているものと解されるかどうかという点に係るものと解される。)。

しかしながら、(一)法律上占用等の許可をする行政庁とその取消しをする行政庁とが必ず同一でなければならないという原則はなく、それを同一とするかどうかは立法政策に係る問題というべきである上、同法七五条によれば、同条各項所定の監督処分の内容は極めて多様であって、その中には、占用等の許可の撤回に当たるものも含まれているが、本件原状回復命令のごとく河川区域内の土地に工作物を設置所有している者が何らその占用権限を有していないものとしてされる工作物の除却、河川の原状回復命令のようなものもあって、右各項所定の監督処分のすべてが占用等の許可の撤回に相当するわけではないこと、(二)等しく河川管理権の作用であるといっても、占用許可は、特定の者に河川区域内の土地を占用する権利を付与するいわゆる設権処分としての性質を有するものであるのに対し、監督処分は、河川が河川法上違法な状態にあり又は河川管理上の支障のある状態である場合等にこれを除去して河川管理権の回復を図ることを目的とする処分であって、河川法上、その性質を異にするものであること、(三)占用許可はいわゆる授益処分であるのに対して、監督処分は一般に処分の相手方に対して不利益を与える侵害処分としての性質を有するから、占用許可の権限が下級行政庁である特別区の区長に委任された場合においても、監督処分の権限については、その適正かつ慎重な行使を期して、上級行政庁で本来的な権限者である都知事にこれを留保することにも十分合理性が認められること等を併せ考えると、河川法上、都知事がその河川管理者としての権限を特別区の区長に委任する場合において、占用許可の権限の所在と監督処分の権限のそれとを同一に取り扱わなければならない旨の制約があるものとは到底解し難い。したがって、原告の右主張は採用し難い。

4 もっとも、〈書証番号略〉及び弁論の全趣旨によれば、本件通達に原告主張の定めがあったこと及び江東区長が昭和四二年五月二〇日及び昭和四六年七月三一日に河川区域内の土地の占用許可をするに当たり、原告主張の付款条項を付したことが認められる。そして、原告は、右通達及び行政実例から、実務上、特別区の区域内に存する二級河川についての監督処分の権限が特別区の区長に委任されているものとして扱われていた旨主張するところ、右事実に照らせば、昭和四〇年代においては、東京都及び各特別区の所管部局において、監督処分の権限が特別区の区長に委任されているかのように扱われていた時期のあることが窺われないではない。

しかしながら、〈書証番号略〉によれば、本件通達は、昭和四二年八月一日付け建河発第五八九号東京都建設局長通達によって廃止されたこと、右通達及び昭和五六年一月二八日付け建河発第一六七一号東京都建設局長通達には、河川法七五条の監督処分は都知事が行うものであることが明示されていることを認めることができる。そして、右事実によれば、本件通達の廃止された昭和四二年八月一日以降は、少なくとも都知事ないし東京都の所管部局は監督処分の権限が都知事にあるとしていたこと及びそのことを各特別区の区長ないし所管部局に周知させようとしていたことが推認される(右の江東区長による昭和四六年七月三一日の占用許可の付款条項の(4)はその文言上は許可の取消し等をするものが誰であるかが明示されているものではないことから、江東区長において、右の変更にかかわらず従来の文言をそのまま踏襲したことによるものと考えられる。)。

そうすると、本件通達に原告主張の定めがあり、また、江東区長が昭和四二年五月二〇日及び昭和四六年七月三一日に占用許可をするに当たり、原告主張の付款条項を付したからといって、本件原状回復命令がされた昭和六三年当時において、実務上、特別区の区域内に存する二級河川についての監督処分の権限が特別区の区長に委任されているものとして扱われていたとの事実を認めることはできず、原告の右主張は失当である。

5 原告は、地方自治法二八一条の三第三項は、都知事の権限に属する事務の中で主として特別区の区域内に関するものについては、必ず特別区の区長に委任しなければならないことを規定したものであるところ、特別区の区域内に存する二級河川の管理に関する事務は、専ら当該特別区の区域内に関するものであるから、都知事は、特別区の区域内に存する二級河川についての占用許可及び監督処分の権限に属する事務を当該特別区の区長に委任して管理・執行させなければならない旨主張する。

しかしながら、主として特別区の区域内に関する事務とは、事務の内容、処理方法等において他の特別区との関係を考える必要がなく、当該特別区だけで自由に判断し処理しても差し支えないものをいうものと解されるところ、監督処分は、河川が河川法上違法な状態にあり又は河川管理上の支障のある状態である場合等にこれを除去して河川管理権の回復を図ることを目的とする処分であって、行政代執行の前提となる手続でもあるし、また、河川が本来洪水等の自然災害の危険を秘めたものでもあることから、監督処分の権限の行使に当たっては、当該処分に係る河川区域の状況のみならず、河川の流域全体についての川幅、水量、水流、既設工作物等の具体的状況を把握しつつ、当該違法な状態又は河川管理上支障のある状態等が河川に及ぼす影響の度合い等を的確に判断する必要があることは当裁判所に顕著である。そうすると、監督処分に係る事務は、一の特別区において自由に判断処理し得る性質のものではないから、主として特別区の区域内に関する事務には当たらないものというべきであり(なお、ある事務が主として特別区の区域内に関する事務に該当するかどうかについて、都知事にある程度の裁量判断の余地があることはいうまでもない。)、したがって、原告の右主張も失当である。

6 そうすると、右2のとおり、委任条項その他の東京都規則に河川法七五条の監督処分に関する事務を特別区の区長に委任する旨の明文の規定が存在しない以上、二級河川につき、監督処分としての河川区域内の土地上の工作物の除却及び河川の原状回復を命ずる処分を行う権限が特別区の区長に委任されているものと解することはできない。したがって、右権限は二級河川の河川管理者である都知事に属するから、都知事は本件原状回復命令をする権限を有し、また、本件原状回復命令に基づく本件代執行をする権限を有するものであり、本件代執行に原告主張の違法はない。

三以上によれば、原告の本件請求はその余の点につき判断するまでもなく理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官中込秀樹 裁判官石原直樹 裁判官長屋文裕)

別紙物件目録

東京都中央区築地五丁目二番地先(都道東京市川線旧尾張橋台敷地先)二河川築地川の河川区域内の河川敷地所在

一 木造(一部鉄骨造り)三階建店舗兼事務所一棟 延べ約二三三平方メートル(ベランダ部分を含む。)

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